行者岩を求めて大峯山〜西大峯山

05年5月25日 H、T(以上S道)、fuku(記)


 Hさんは以前大峯山から西大峯山まで縦走し、虫道に下山したそうだ。その後本で『広島百山』19941125日さくら印刷出版(新南陽市野村197)発行 著者 山田廸孝)行者岩に至る古いルートの概念図と記事を見つけ、その縦走時に見逃していた事に気づきずっと気になっていたとか。おそらく既にそのルートはヤブ化しているだろうが是非行ってみたいとの提案だ。
 もちろん、二つ返事でOK。加えて、自分にとっては初めての山だが、西大峯山からは虫道に下りると長い車道歩きが味気なさそうなので、874から南東へ尾根を下り上川上へ下りるプランとなった。

 

行者岩を探す

今回は3人である。いつものHさんに加え、ヤブ漕ぎ経験豊富なTさんが参加。ミニバイルは家に置いてきた。不意の熊との遭遇にもなぜだかこの体制なら安心で必要ない気がしたのだ。

大峯山へ下川上の分校跡の駐車場から車道を西へ進み、中国自然歩道の看板を北に入る。道はすぐ右に折れる。地図と尾根を確認し、記述のとおり自然歩道を右に見送り、真っ直ぐ伸びる少し荒れた山道へ進む。

水のほとんどない沢沿いに植林帯を進むが、コンパスの方向が西寄りに変化し傾斜が急になったあたりで、Tさんが尾根に踏跡を見つけ尾根に乗る。踏跡が二股に分岐している、と尾根の下方を見ながらTさんが言う。なるほど確かにそうなっている。Tさんは瞬時にして周囲の状況を観察し把握しているようだ。見るべきポイントが分かっていて無駄なく観察が出来るのだろう。さすがにヤブ漕ぎ経験豊富で勉強になる。そして、地形図を見ると小さな尾根が南南東方向に出ているのでおそらくそれに向かう道と考えれば納得出来る。高度、傾斜の変化、尾根の方向の変化、下方への踏跡分岐から小尾根がある可能性、これらを総合的に考えるとほぼ間違いなく目的の尾根に乗っていると考えて矛盾はない。ヤブ漕ぎはこんな推理がおもしろい。そして結果は現実のものとして体験出来るのだから下手な推理小説よりよほど刺激的だ。

踏跡はやがて消え、ひたすら尾根に沿い植林帯の急登を行く。右の沢から水音が聞こえる。概念図に滝とあったのでその水音だろうか。傾斜はますます急になる。30度以上はあるだろう。

急に植林帯が切れ自然林になった。明るくなり新緑がきれいで、ずいぶん感じは良くなったが傾斜は更に増す。

概念図の尾根を横切り東方向に向かう道を探すが見つからない。右の尾根はまだはっきりその形をとどめている。おそらく尾根からトラバース気味に道が付くとすれば沢の切れ込みが浅くなるあたりだろうと想像すれば、もう少し上だろう。それにしてもこの急傾斜はキツイ。

950mあたりから右にトラバース気味に進路を取る。踏跡は見つからない。沢の詰め付近は庭石大の石が堆積し、その間を灌木が埋めていて、歩くのにさっきまでの急傾斜以上に難儀する。時たま樹間から上部を見るが、新緑が覆い麓からでも大きく見える巨大な岩は確認出来ない。大岩の上に登り辺りを見渡すが視界が開けた西には見つからない。少なくとも行き過ぎてはいないようだ。隣の右の尾根がそろそろ合流する。その辺りにありそうな気がする。

「あった!」。50mはあるだろうか、新緑の間から岩の頂が見える。「オーーイ」、上から声がする。トラバース途中から山頂に登ったTさんだ。岩の基部を回り込み岩の頂に出てTさんと合流した。岩は10人程座れる平たい頂であった。視界は180度。50mはあるだろう垂直の岩からの景色は高度感もありすばらしい。ここで昼食とする。

 

シロモジ林を西大峯山へ縦走

この岩へは山頂から「高速道路」が着いていた。すぐ到着。まず八畳岩に登る。立派な縄梯子がある。下りは木を伝い下りた。さらに山頂の大岩に向かう。どこから登るのかよく分からないが、すぐ目の前の祠の左の岩を伝い岩の隙間から左の岩に乗り移り登った。Hさんは前回来た時、「そこは危ないから止めた方が良い」と他の登山者から言われたので渋々止めたそうだが、今日はこれを登る。山頂からは360度の展望で今から行く西大峯も見える。稜線は自然林に覆われ、縦走路に展望はなさそうだ。

縦走路は笹が覆うが、しつこいくらいのテープと踏跡も明瞭で迷うことはない。たまに外すが、すぐに気が付く。思ったとおり展望はないが、シロモジの木がたくさんあり紅葉の時期には黄色く色づくそうだ。Hさんは樹木、花に詳しく途中色々説明していたが、すべて右から左へ脳を通り過ぎていってしまった。脳内通過のコースタイムは極めて早い。

ヌタ場のコルを過ぎ少し登り返すと西大峯山頂である。三角点があるだけで展望も無いが、自然林に囲まれ雰囲気は悪くない。

 

下りはショートカットに挑戦

小休止の後出発。今度は、874からショートカットルートを取るため、そのピークを間違いなく確認することが最初のキーポイントとなる。その為には現在位置を確認しながら慎重に進む事が必要となる。尾根の方向と高度から一つ前のピークを確認。そこからルートは一旦東に進み南に折れるように進むはずで、歩きながらコンパスで矛盾が無いことを確認しながら進む。そして傾斜も緩やかとなり、地形図とも合致していてそろそろだと進むと植林帯の中に三角点があった。

これから先はコンパスをセットし、800m付近で分岐する左の支尾根に乗ることだけ気をつければ良い。H、Tさんは踏跡をたどりわずか南に下り回り込んだ。自分は強引にコンパスどおりに笹ヤブを突っ切り踏跡に到達した。この辺りはやはり経験の差だろうか、結果は同じでも周囲を見渡す際の引き出しの多さが違うようだ。

問題の支尾根もTさんが素早く見つける。これで後はとにかく下れば沢沿いとなり多少外してもルートは同じ所に集まってくるはずだ。植林の間伐材、倒木、枝打ちした枝などに足を取られながら目標の道に到着し、後は車道を20分程歩いて周回を終えた。

 

山行後記

ネットで調べると「フチタキ」とあった。縁の懸崖ということだろうし、岩を示す看板には「廻り縁」とあった。山頂部を縁の様に囲んでいる様子が建築用語の回縁に共通しなるほどと思わせる。

ルートとしては、登りに使った尾根はあまりに急で本当に破線のルートがあったのか疑問にさえ感じた。むしろ1本東の尾根の方が距離が長い分傾斜は緩やかで、しかもほぼ行者岩の辺りに突き上げているので石と灌木の難儀なトラバースも回避出来良いと思われる。しかし、行者岩への登山道が山頂からあった事を考えれば、分校跡からの登山道を辿るのが正解だろう。

西大峯山からの下りは地形図で見ると、874から上川上へ向かうより真っ直ぐ南の尾根を下る方がさらにショートカット出来る。実際、その方向に山頂から踏跡があったが続いているかは分からない。


記録:大峯山登山口駐車場(分校跡)発9:3010:17尾根に乗る=10:25滝の音 前方60度位方向から聞こえる(730m)=10:55トラバース開始=11:25岩発見=11:30行者岩上 昼食 出発12:3512:45大峯山頂12:5513:37西大峯山13:5714:30874ピーク=15:15上川下道路に下山15:3015:53大峯山登山口駐車場